アナログ・レコードには通常よく目にするLPの12インチ・サイズとシングル盤(ドーナツ盤)の7インチ・サイズ、そしてその中間の10インチ・サイズがあります。
この10インチ・サイズのレコードは少し特殊な立ち位置のせいか、あまり中古市場でも見かけません。今回は、その魅力を分かりやすく解説します。
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10インチのサイズ比較
左から、12インチ(LP)、10インチ、7インチです。何とも微妙なサイズだと思いませんか?
ざっくりとした10インチの歴史
現代に連なるレコードの歴史はSP盤から始まりますが、そもそそSP盤は10インチでした。
12インチもありましたが、初めは10インチの方が多かった思われます。
1940年代頃、アメリカではスイング・ジャズの生演奏で人々が踊っていました。
その後、生演奏ではなく、ラジオでジャズが流れるようになったり、家庭でSP盤が聴けるようになりましたが、SP盤は収録時間が短く、割れやすく、扱いが大変でした。
そして、技術が進み、12インチの33回転で片面に約23分録音できるLP(ロング・プレイ)が誕生すると、SP盤は急速に廃れていきます。
LPは長い時間再生できるうえに、素材がSP盤より改良されて、割れにくくなったので当然の流れです。
こうして10インチは、SP盤の衰退と共に(録音された曲も)時代から忘れられていきました。
その後、10インチが生き残った理由
やはり微妙なサイズ感が、アーティスト、リスナー共に、新鮮に感じられたのだと思います。
モノ的に、購買心を誘うサイズなのです。発売価格はLPより安く、買いやすさもあります。
録音時間は33回転で約12分、45回転で約9分なので、33回転の場合はミニ・アルバム、45回転の場合は存在感のあるシングル盤として、リリースされるケースがあります。
その他に、個人的には10インチはある意味、ノベルティー(グッズ)的な要素があり、ライブ会場で限定販売されるなど、プロモーションに利用しやすい面があったと思います。
又、単純にアーティストが10インチが好き!と言う理由もあったでしょう。
10インチ・レコードの紹介
うにが10インチ・レコードを最初に知ったのは、YMOの「増殖」でした。同年代の方で同じ体験の人は多いかもしれません。
細野晴臣はレコード会社から、前作のライブ盤、「パブリック・プレッシャー」(国内アルバム・チャート週間1位)の続編を要請されたものの、それを断り、短時間でリリースできる曲数の10インチで、代替え案的に出したのがこのアルバムです。
ジャケットの全体のサイズは12インチですが、外側の赤い部分から内側の10インチが外せます。
これは、アズテック・カメラのライブ盤ですが、10インチで5曲収録されています。
ジャケットのサイズは12インチでも、10インチでもない、やや特殊な物で、開くと中に10インチ・レコードが収納されています。
発売の経緯は分かりませんが、「JUMP」のカヴァーなど、ジャケット的にも、曲的にも珍しいレコードだと思います。
ジャケットは多分、雑誌の表紙をイメージしているんではないでしょうか。
ノイズ、インドストリアル、ミュージックと言う特殊なジャンルの中でも、更に特殊なレコードをリリースしていたソヴィエト・フランスの10インチ。
ジャケットの表面がアスファルトでコーティングされています。道路の舗装みたいな感じです。
こう言う、アート系のオブジェ的なジャケットにも10インチは相性がいいみたいです。
最後は、ドラムン・ベースのアーティストのDJ KRUSTの10インチです。
実験的なヒップホップ、トリップホップのムーブメントの中心だったレーベル、MO WAXからリリースされています。
通常、クラブミュージックのシングルは、12インチが多いので珍しいかもしれません。
ジャケットのデザインもいいですね。
まとめ(今なぜ10インチなのか)
10インチは、モノとしての存在感と、生産枚数の少なさからくる、希少性が備わった非常にコレクター魂をくすぐるレコードと言えます。
しかし、今のところ中古市場では、そんなに高くありません。紹介した4枚の10インチは、どれも買った当時千円以下でした。値上がりの気配も見えません。
理由は、(ジャンルにもよりますが)希少性はあるけれど、欲しい人が少ない(需要が少ない)からかもしれません。今が買い時とも言えます。
*SP盤以外の10インチは、通常のレコード・プレイヤーで、普通に聴く事ができます。
*SP盤を聴く為には、78回転対応のレコード・プレイヤーと専用の針が必要です。SP盤対応のポータブルレコードプレヤーについては、昭和の歌謡曲とポータブルレコードプレーヤーでも書いています。
10インチの外袋はレコード店でも置いてない所が多いので、ネット上でで注文した方がいいです。
おわり!
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